廃線を歩いてみないか?

 昨日は友人からの電話で起床した。時間は13:21分。
 「どこかに行こう。いまから。」
 寝ぼけた頭で適当に候補を挙げる。
 横浜でレンタル自転車に乗りサイクリング。登戸でやっているシャッターペイントを見に行く。多摩川線に乗って是政に行き、川を見てぼーっとする。
 どれも彼の反応はいまいち。これ以上もうネタはねぇよ。と思ったが、そういえば川越に廃線があったことを思い出す。
 「廃線を歩いてみないか?」
 その提案は友人にとって非常に魅力的だったらしく、すぐに三鷹に迎えに来るとのこと。

 時刻は土曜日の午後2時半。客がまばらな西武新宿線でのんびりと移動。乗り換えのホームを間違えてもいらだったり焦ったりする必要も無い。目的地は、三鷹から電車でちょうど一時間ほどにある南大塚。ここから廃線は始まる。
 

 都心のすぐそば。その気になればいつでもいける場所。そこには緑があふれていた。小川と田んぼ、たくさんのおたまじゃくし。意図の分からない人工的な丘。唐突に現れる不法投棄物の山。中途半端に手が入った林。きれいな場所も汚い場所もある。
 行きたい方向があっても道が蛇行していて遠回り。気を抜くとすぐに失う方向感覚。
 どこが公共の土地でどこが私有地なのかも分からない。人とすれ違うとわずかな安心感。
 

 やさしいような、怖いような、乱暴なような、そっけないような、暖かいような、グロテスクなような。もやもやと感情と思考が浮いていた。折り合いをつけるきっかけさえも付かないまま気がつけば日が暮れていた。

 また足を運んでみようと思う。

 








 写真は友人または友人のカメラを借りて僕が撮ったものです。