<TVアニメ>かみちゅ!

ある日、中学生が神様になるという一言で言えばただそれだけのアニメ。
しかし、神様にどうやってなったのか?どうしてなったのか?何の神様なのか?それはすべて謎。
それで神様になった主人公一橋ゆりえとその友人四条光恵、そして、神社に住んでる三枝祀の三人が、生徒会に立候補してみたり、神様相談室を開いてみたり、貧乏神と生ぬるく戦ったり、総理大臣に呼ばれて火星人と対面したりする。


このアニメものすごくぬるい。喧嘩はしないし、別に特には成長もしない、恋愛もあるにはあるけどメインではない。
テーマ性も全くもって皆無。
オタクなおっさん達が作った、ただの女子中学生妄想アニメです。
そして、彼らは中学生当時、別に女の子と仲良かったわけではないらしく、「あんな話してんじゃね〜かな〜?」とか「こんなことしてたんじゃね〜かな〜」
という当時の妄想を原材料に作り出した自己満足アニメです。
作品の舞台が尾道なのも当時の角川ジョブナイル映画の乗りをアニメでやりたくて決まったようです。
とにかく制作者のやりたいようにやる!それがかみちゅ!です。
しかし、好きなことやってるだけあって気合いが入ってます。作画のレベルは高いし、尾道の街も入念な取材の結果、坂道だらけで味のある町並みが丁寧に描かれてます。
アクションものではないですが細かいところでよくキャラクターが動きます。妖怪のデザインもよくできていてかわいいし、作り手側の情熱が伝わってきます。

ひとつ言っておきたいのはこの作品は萌アニメとはちょっと趣向が違うような気がします。
視聴者の視点は女子中学生の娘を見守っている感じに近いと思います。
故に中学生ぐらいの子供が観るよりも、かつて中学生であった大人が観る方が面白いかも知れませんね。

話は戻りますがこの作品は制作者が作りたいものを作ったアニメです。悪く言えば作り手側のオナニーな分けですね。
最近どうやら気持ちよくなるのは受け手側であって作る側ではない。という風潮があるようですが自分的にはその考えは許容しづらいものがあります。
受け手にこびを売ったキャラクター造形。受け手に対するサービスを盛り込んだシナリオ。視聴者の願望を満たすだけのアニメ。
自分は正直そんなもの一年に1,2個あるならいいですけど、そればかりが蔓延するのはごめんです。
自分の中では物語というものは制作者の世界、視点、価値観などを描き、それによって同調したり、心に響いたり、時には萌萌したりするものであってほしいのです。
作家性の存在しない物語は自分的には愛のないセックスと同じです。
受け手が求めてるものをただ作り続けるだけでは新しいものも生まれにくいですし、この業界に入りたいと思う人も減っていくでしょう。
物語を作ると言うことは自分を不特定多数の人間に対してぶつけていくということ、そして、受け手は相手の意図を読み取り、それに対して自分なりの答えを出す。
そういうやりとりこそが本来あるべき姿だと思うのです。

かみちゅ! 1 [DVD]

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