<小説>導きの星 作:小川一水 イラスト:村田蓮爾

時は遠い未来、人間が宇宙に広く進出した世界の物語です。宇宙に進出した人類はいくつもの知的生命体を発見します。しかし、そのすべてが大気圏を突破する力を持たず、人類よりも遅れている文明たちでした。
そして、人類は紆余曲折の末外文明を見守り、気づかれないようにそっと導くことを決めます。そのために外文明支援省が作られ、やがて一人で一生付きっきりで星の面倒をみるC・O、シビリゼーション・オブサーバーという仕事が生まれます。
そして、C・Oである主人公辻本司はオセアノという惑星に派遣されます。やがて司はオセアノでリスのような知的生命体スワリスと出会い、それを支援対象と決め、三人の女性型人工体(パーパソイド)達とあるべき方向に導いていくわけです。
いままでありそうでなかったこの設定。シミュレーションゲーム好きの自分にはたまりません。ぜひゲーム化して欲しいものです。
それはともかく話の内容も悪くないです。三人のパーパソイドのわがままに振り回される主人公というライトノベルにありがちな展開ですが、その行動の裏には主人公の知らない彼女達の極秘任務があるというただのアニメ的な人格構成とは違うものがあります。そして、主人公の過去のトラウマが次第に明かされたり、さらには地球外知性生物が宇宙航行を入手して戦乱記を迎えるなど読み応えがあるものです。導きの星〈4〉出会いの銀河 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)
しかし、設定に比べるとすこしストーリーが弱い気がするのも事実です。
小川一水さんはどの作品も舞台設定は良くできてるのでそのうちアニメ化されるような名作が生まれるような気がします。軽いSFが好きな人はぜひ読んでみてください。
それに村田蓮爾さんのイラストも良い味出してます。話に合ってるかどうかは少々疑問ですが・・・