ブギーポップ 作者:上遠野浩平

あらすじ
この物語はひとつの事件を様々な人物の角度から追っていきます。大きな事件の後始末、それに巻き込まれた高校の生徒達が主人公です。
人を喰らう謎の人物マンティコア
ぼろぼろの姿で路上で倒れていた青年。
そしてそれを助けた人のいいそして、ちょっと惚れっぽい女の子紙木城直子。
過去に殺人者にねらわれたことを引きずり、事件の真相を究明しようとする末真和子。
事件解決のためにわざと停学処分を受けた炎の魔女と呼ばれる霧間凪
ごく平凡な高校生である竹田啓司。
その彼女である宮下藤花。
そして、彼女の姿をしているが、全身黒ずくめで鋲やバッヂだらけのマントを羽織り竹田啓司に「今はブギーポップだ」と名乗る人物。
彼らはひとつの事件に巻き込まれるが、それぞれ違う場所で、違う体験をする。彼らはみな無力で真実を知ることもできない。


オムニバス形式で話が進み、良く分からないまま物語は終わってしまいます。ネタバレがほとんどないのがこの作者の特徴です。(ネタバレがないからといって作者がなにも考えてないわけではありません)
しかし、ネタバレなどなくても十二分に面白い。
特別でない登場人物達が良く分からないまま事件に巻き込まれていく、その形式が社会の波に飲まれ、真実を知ることもなく流されていく現実世界での自分自身とリンクし、強い共感を自分は覚えました。
現実世界を舞台にしているにもかかわらず、まるで違う世界に来たような気分にさせられる独特の世界観も魅力のひとつです。
素晴らしい言葉のセンスでつづられるストーリーは世界観と融合し読み手を引き込みます。
間違いなく名作です。
是非手に取ってみてください。

ブギーポップは笑わない (電撃文庫 (0231))

ブギーポップは笑わない (電撃文庫 (0231))

つづく