フランス革命とナポレオン

ヤングキングアワーズから出ている長谷川哲也の「ナポレオンー獅子の時代ー」が非情に熱くて面白かったので、創元社から出ている「ナポレオンの生涯」を買って読んでみた。


フランス革命を利用して昇進を繰り返し、戦争で連戦連勝し、第一執政まで上り詰めて政治改革を行い、ついには皇帝まで上り詰める。ナポレオンの生涯は、あまりにも鮮やかだった。しかし、同時に、ロシア遠征に負けると一気にその地位は崩壊していく。革命を駆け抜けた儚い英雄。読後感のナポレオンのイメージはそういうものであった。


また、自分は、ろくに歴史の授業など受けたことがないので、この書を読むまでナポレオンは軍事的才能に溢れているが政治家としては優れていなかったという勝手なイメージを持っていた。しかし、彼はフランス革命によってもたらされた思想を様々な形として整備してフランス国民にもたらし、それを、ヨーロッパ諸国にまで輸出している。読後はむしろ、政治家としてのナポレオンに興味が非情にわいて来た。


革命で失われた宗教を復活させ国民に心の平安を取り戻し、行政組織を整備し、フランス銀行、証券取引所会計検査院、商工会議所などを設立し、新通貨大系の導入を行い改革を進めた。文化面でもルーブル美術館の整備、学士院の再編などをを行い、さらに帝国大学、高等学校の設立など、15年間でフランスを全く新しく改変したのだ。
そして、国務院で100回以上審議を重ね作られた、彼が制定した民法典は革命の思想の集大成である。


近代国家への橋渡しを行った儚い英雄ナポレオン。騎馬にまたがり、戦場を駆け抜けた印象が色濃い彼だが、政治家としてのナポレオンの方がもしかしたら偉大だったのかもしれない。

ナポレオンの生涯:ヨーロッパをわが手に (「知の再発見」双書)

ナポレオンの生涯:ヨーロッパをわが手に (「知の再発見」双書)